小さな恋人
さくらんぼ
山形を代表する果実「さくらんぼ」。
山形県は全国のさくらんぼ生産量の約75%を占める日本一の産地です。
「佐藤錦」や「紅秀峰」など様々な品種があります。
大玉新品種「山形C12号(やまがた紅王)」も誕生し、
山形県産さくらんぼへの期待はさらに高まっています。
樹がまだ眠っている冬の間に、日当たりを良くするため、大枝を間引く「整枝」と小枝を間引く「剪定」を行います。
おいしい実をつくるための重要な作業の一つです。
剪定後は、大きくておいしい実をならせるために花芽を間引く「摘芽」を行います。
さくらんぼは一つの品種の花粉だけでは実をつけません。
実をならせるには、「佐藤錦」と「紅秀峰」など、品種の違う花粉を交互につける必要があります。
真っ白でかわいらしい花が咲く頃になると、ミツバチやマメコバチの力を借りて受粉させたり、
生産者の方々が“毛ばたき”を利用したりして、人工受粉を行います。
色づきはじめたさくらんぼは雨に弱く、実が雨に当たると割れてしまいます。
そのため、樹の上にビニールを被覆して、雨から実を守ります。
さらに、太陽の光をたくさん浴びられるように、地面に“反射シート”を敷き、下からも光が当たるようにします。
実が真っ赤に色づいて甘さが増したら収穫が始まります。まだ日の昇らない朝早くから、一個一個丁寧に、人の手で摘み取られます。
摘み取られた実は、色合いや大きさで分けられ、パックや箱詰めにされます。
厳しいチェックをクリアしたものだけが、消費地に出荷されます。
収穫後から落葉する11月までは、次の年の花芽が育つ重要な時期。
樹を病気や虫から守るため、農薬を散布したり、雨が少ない時は水をまいたりします。
また、肥料やたい肥で、樹の栄養分を補給します。
さくらんぼはバラ科サクラ属の果樹で、明治元年に日本へ渡来しました。
この時期に全国で試作されましたが、ほとんどが失敗し、霜害や台風被害の少ない山形県だけが実績をあげました。
人気の品種「佐藤錦」は、山形県東根市の佐藤栄助氏が、大正元年に「黄玉」と「ナポレオン」を交配し、10年の歳月をかけて誕生。
昭和3年に「佐藤錦」と命名し、世に広めました。