太陽にキス
りんご
山形りんごの代表品種「ふじ」は、半分に割ると真ん中に黄色い蜜がたっぷり。
これは袋をかけない「無袋栽培」の恩恵によるもので、高い技術力が必要となります。
このほか、「つがる」「秋陽」「シナノスイート」「王林」など様々な品種が栽培され、全国第4位の生産量を誇っています。
美しい色合いとサクッとした歯触り、爽やかな甘酸っぱさで人気です。
古くなった枝を更新し、樹全体の日当たりを良くするために、余分な枝を間引く「整枝・剪定」をします。
この整枝・剪定は、生産者の方が作業しやすいようにする目的もあります。
特に「ふじ」は、他の品種以上に「整枝・剪定」での良し悪し、収穫量・品質が大きく左右されるので、熟練した高い技術が必要です。
白とピンクの愛らしいりんごの花。山形県では、周囲の山々にはまだ残雪が見られる5月初旬に開花します。
りんごは、一つの花芽の中に「中心花(ちゅうしんか)」とその周りで咲く「側花(そくか)」があり、「中心花」が実るとおいしく品質の高いりんごになります。開花期にはミツバチやマメコバチの力を借りて、相性のいい他の品種の花粉を受粉します。種が多く入っているりんごは、肥大や形も良く品質も高くなります。
花が咲く5月上旬には「中心花(果)(ちゅうしんか)」の実止まりや肥大を良くするため、不必要な花を摘む「摘花」をします。
実止まりがはっきりしてくる5月中旬には、実を間引く「摘果」を行い、残した果実に多くの養分が行くようにします。
りんごの色づきを良くするために、果実に覆いかぶさった葉を摘む「摘葉(てきよう)」を行います。
また、下からも光を当てるためにシルバーのシートを敷きつめます。
「ふじ」は、蜜入りも多く味の濃いりんごに仕上げるため、葉っぱをつまない「葉とらずりんご」の取り組みもあります。
太陽の光をいっぱい受けた、真っ赤に色づいたりんご。日格差の大きい気象条件と、生産者が高い技術を有する山形県のりんごは、樹上で完熟を迎えるためおいしさがひと味違います。りんごの芯の周囲にできる黄色い飴色の部分は、「ソルビトール」という糖の一種が果肉の細胞からあふれ出したものです。
ソルビトール自体の甘みは強くありませんが、りんごの甘さの基となる果糖やショ糖、ブドウ糖などに変化します。
その結果、適度な酸味が加わって、香りも良く甘さの際立ったりんごになるのです。
「無袋ふじ」の栽培は今でこそ全国的になっていますが、昭和45年にこれまでの有袋栽培から無袋栽培に初めて取り組んだのが、
山形県の「天狗」印で有名な朝日町です。「無袋ふじ」は、有袋栽培に比べて甘みが強く酸味とのバランスも良好で、
パリッとした歯ごたえが特長です。